取材を行うとき、原則として「取材依頼」を行うのが基本だと思います。その際、必ずしも取材依頼を了承していただけるかと言えば、そうでもありません。
どうしても断られてしまうケースもあります。ということで、この記事では取材依頼を行った際に可否を左右する要素をまとめてみました。
前提として
まず前提として、取材依頼の現状を整理していきましょう。結論から言うと、いまの時代は取材依頼が断られやすいのではと考えています。理由が「情報発信の民主化」です。これまで、自社の情報を露出していくには、高い広告費をかけて宣伝するのが一般的でした。
そんな中、視聴者や読者がいる「メディア」と呼ばれる媒体から取材を受けることは、「広告費をかけずに宣伝できる」貴重な機会であったため価値があったのだと考えられます。
ところが、インターネットの登場によって状況は一変。ホームページやブログといったメディアを介さない形で情報を届けられるようになりました。
さらに、この勢いは止まることを知らず、いまではSNSという形で子どもからお年寄りまで手軽に情報を発信しています。
この「情報発信の民主化」によって、状況はガラリと変わりました。自らで情報発信ができるので、メディアに露出する必要がない。つまり、取材を受ける価値が以前より低くなっていることが推測出来ます。
いまでは「メディアより発信力を持つ個人」なんて方も珍しくありません。このような現状があるため、自身で発信できる人は、取材を受けるメリットを感じにくく、取材依頼が断られやすいのではと考えられます。
まず、この前提があった上で、取材依頼を左右する要因について見ていきます。それが以下の5つです。
- スタンス
- タイミング
- 媒体
- 取材依頼者
- 取材依頼方法
ひとつずつ見ていきましょう。
スタンス
取材依頼を左右する要因として、取材対象者のスタンスがあります。まずひとつが取材大歓迎の会社や人です。取材を受けることに価値を感じてくれている方達です(お店の壁に新聞記事の切り抜きが貼ってある飲食店とかありますよね)。
取材を受けることを好意的に捉えてくれてば、比較的取材依頼を受けてくれる可能性が高い傾向にあります。
もうひとつが「取材NG」の会社や人です。
情報が発信され、これまでと違った客層のお客様がやってくることで、常連のお客様が対応できなくなる。あるいは単純に目立ちたくない。
そういった理由で取材は受けないというスタンスです。
取材依頼がどうこう以前の話として、取材対象者がどちらのスタンスかによって、当然取材を受けてくれるのか分かれます。
タイミング
タイミングも取材依頼を左右する要因です。
取材自体は受けたいんだけど、繁忙期のため忙しすぎてそれどころじゃない。なんてこともあったりします。
一方で、新規オープンしたから積極的にPRしたい。そんなときは、取材依頼に対して積極的に対応してくれます。
こればっかりは、こちらがコントロールできるものではなく、タイミングです。もし「忙しいから!」と断られたら、また時期を改めて取材依頼をすれば受けてくれるかもしれません。
建前として取材を受けたくないために「忙しい」と断っている可能性もあります。複合的な視点で考えなければならないので、お気をつけください。
媒体
取材内容が発信される「媒体」によっても取材を受けてくれる可能性が変わってきます。一口に媒体と言っても「知名度」と「好感度」の評価軸があります。
まず1つが媒体の知名度です。さきほど、個人での発信が強くなっていると紹介しましたが、もちろん媒体だって負けていません。変わらず認知され続けている媒体もあり、「その媒体を知っている」ことが取材の了承に繋がったりします。
もう1つが媒体の好感度です。必ずしも知名度のみが媒体の評価軸ではなく、「世界観が好き」なんてものありますよね。逆に知名度は高いけど、悪評も聞こえてくる。なんてことも。
いずれにしても、媒体に対して取材対象者が好感を持ってくれていれば取材依頼も受けてもらいやすくなります。
取材依頼者
取材依頼者によっても取材を受けてくれるか変わってくるケースがあります。具体的に言えば好感度です。
自分がお客様の立場になってレストランに行ったとき、お店の雰囲気も良く、料理も美味しい、それなのに「店員さんの態度が最悪だった」。それだけで「2度と行くもんか」と思ってしまいますよね。
取材依頼も一緒です。私たち依頼者へのイメージによって、「失礼だから受けない」なんてことになってしまう可能性も十分にあります。「取材をしてやる」なんて態度は言わずもがな、リスペクトを持って相手に不快感を与えない姿勢が求められます。
取材依頼方法
最後が「取材依頼方法(内容)」です。コンタクトの取り方ひとつとってもお問い合わせフォーム・SNS・電話・訪問と様々あります。
どのコンタクトの取り方が適切かは取材対象者によっても当然変わってくるもの。さらに、その際のトーク内容や文面といった伝え方によっても、相手の受け取り方は変わります。
加えて、取材の条件提示(謝礼金の有無など)でも取材対象者が「この依頼を受けるべきかどうか」変わります。
「どのような取材依頼方法なら快く検討してくれるだろうか」と考えて依頼をかけるのがベストです。
まとめ
取材依頼を断られたら、まるで否定されたようで「自分がいけないんだ」と自己嫌悪に陥ってしまうものだと思います。
けれど、取材依頼は「依頼者に対するイメージ」だけで決まるものではありません。様々な要因が複合的に絡み合っているのが実情です。取材に断られても落ち込む必要はなく、今回は縁がなかったんだ。と、切り替えていけるのが理想ですね。
ただ、取材依頼のやり方に失礼や不備があったのであれば、振り返りを行い改善をする必要はあります。
大事なことは、取材対象者に誠意とリスペクトを持って、自分が胸を張れる方法で取材依頼を行っていくことだと思います。